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多発性骨髄腫のレナリドミド維持療法を3年間のMRD陰性状態後に中止してもMRD陰性は維持される

第21回International Myeloma Society Annual Meetingで、多発性骨髄腫におけるlenalidomideの維持療法中に、3年間の持続したMRD陰性を確認したのち、維持療法を中止して、MRD陰性状態が継続されるかを調べる前向きの観察研究(NCT04221178)の結果が発表されました。

主な登録基準

  • 多発性骨髄腫の治療後のlenalidomideによる維持療法で3年間のMRD陰性を確認した
  • 前治療数は問わない
  • MRD陰性はフローサイトメトリー(multiparametric flow cytometry)で10-5
  • 登録時にMRD陰性
  • CNS・形質細胞白血病などは除外

Primary Endpoints

  • 1年後のMRD陰性維持率

主なSecondary Endpoints

  • HRQOL
  • 3年後のMRD陰性維持率
  • PFS・EFS
  • MRD陰性持続期間
  • MRD陽転化後の治療の反応
  • バイオマーカー

試験内容

  • 前向き観察研究
  • Single arm
  • 維持療法を中止して3年間の観察
  • 血液検査は3か月ごと、MRD検査は骨髄検査で6か月ごと、PET/CTは12か月ごとに行う
  • Stage1:最低8人の被験者がMRD陰性を1年間持続していたらStage2へ
  • Stage2:追加で35人が登録。

結果(データカットオフ日:2024年8月19日)対象:39人

  • 全治療期間/維持療法期間:8.1年 (5-20)/4.6年(3-13)
  • 年齢:63歳 (29-77)
  • 15%が高リスクのcytogenetics(9%はリスク不明)
  • 43%が移植後の維持療法
  • Median follow-up:24.3 months (95% CI, 20-35)
  • 1年後のMRD陰性維持率:85% (64%-94%)
  • 2年後のMRD陰性維持率:78% (66%-93%)
  • 2年後のMRD陰性率(標準リスク/高リスク):81% (68%-98%) /67% (42%-100%) P = .21
  • 72%がMRD陰性を維持、28%にMRD陽転化がみられた
  • MRD陽転化までの時期:16か月 (6-49)

今後、P3:SWOG 1803/DRAMMATIC試験(NCT04071457)において、MRD2年持続陰性患者に対して維持療法を継続、中止するランダム化試験で検証される。

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3クラス使用後のRRMMに対するtalquetamabとteclistamabの併用は髄外病変にも持続的な効果がみられた

第21回International Myeloma Society Annual Meetingで、3 class使用後の再発難治多発性骨髄腫に対するtalquetamab-tgvs (Talvey) と teclistamab-cqyv (Tecvayli)を併用したRedirecTT-1試験(P1b:NCT04586426)の結果が発表されました。

Phase 1b RedirecTT-1 試験

主な登録基準

  • 3クラス(IMiDs、PI、CD38)使用後の再発難治多発性骨髄腫
  • 髄外病変(EMD)は許容
  • CNSは除外

Primary Endpoints

  • パート1:dose-limiting toxicities
  • パート2:安全性
  • パート3:ORR

主なSecondary Endpoints

  • CRR
  • DOR
  • PFS/OS
  • Time to response

試験内容

  • P1b
  • Single arm
  • パート1:talquetamab+teclistamab(+/- daratumumab)
  • パート2/3:talquetamab(0.8 mg/kg)+ teclistamab(3 mg/kg)隔週投与
     → recommended phase 2 regimen (RP2R)

結果

  • RP2R:talquetamab(0.8 mg/kg)+ teclistamab(3 mg/kg)隔週投与
  • ORR:79.5%
  • CRR:52.3% →18か月時点で85.9%が効果持続
  • PFS(18M):69.8% (median follow-up:18.2M)
  • EMDでの結果:
     ORR/CRR:61.1%/33.3% →18か月時点で81.8%が効果持続
     PFS(18M):52.9%(median follow-up:13.6M)
  • Grade 3/4の感染症はmonotherapyと比較して少し多くみられたが、6か月以降は増加はみられなかった
  • 味覚(50%)や皮膚/爪症状(56.8%/47.7%)、はlow gradeであった
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初発多発性骨髄腫に対する移植後のDara+Len維持療法は高いMRD陰性化とPFSの延長をもたらした

第21回International Myeloma Society Annual Meetingで、初発多発性骨髄腫に対する移植後維持療法でのDara+LenとLen単独療法を比較したAURIGA 試験(P3:NCT03901963)の結果が発表されました。

Phase 3 AURIGA 試験

主な登録基準

  • 初発の移植後多発性骨髄腫(12か月以内の移植)
  • 移植後にVGPR以上かつMRD陽性(カットオフ:10-5
  • Dara感受性あり
  • 移植後6カ月以内

Primary Endpoints

  • 維持療法開始より12か月後のMRD陰転化率

主なSecondary Endpoints

  • PFS/OS
  • MRD陰性持続期間
  • CR持続期間

試験内容

  • P3
  • ランダム化:Daratumumab + Lenalidomide vs Lenalidomide

結果(Dara-Len vs Len)

  • 12か月後のMRD陰転化率:50.5% vs 18.8% (odds ratio [OR], 4.51; 95% CI, 2.37-8.57; < .0001)
  • CRR:61.3% vs 25.8% (OR, 4.62; 2.20-9.70; < .0001)
  • sCR:50.5% vs 35.6%
  • PFS(30M):82.7% vs 66.4% (HR, 0.53; 95% CI, 0.29-0.97; = .0361)
  • MRDの陰転化はPFSの延長に関連していた
  • PFS(30M:MRD- vs +):95.2% vs 69.0% (Dara+Len)
                 94.1% vs 59.3%(Len)
  • 新しい安全性の問題は検出されなかった
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未治療の多発性骨髄腫に対する移植なし4剤併用のDaratumumab+VRd療法は高いMRD陰性化を達成

第21回International Myeloma Society Annual Meetingで、初発多発性骨髄腫に対する移植なしDara-VRd療法のCEPHEUS試験(P3:NCT03652064)の結果が発表されました。FDAは2024年7月にPERSEUS試験 (NCT03710603) に基づいてDara-VRd療法を承認しています。

FDA approves daratumumab and hyaluronidase-fihj with bortezomib, lenalidomide, and dexamethasone for multiple myeloma

Phase 3 CEPHEUS試験

主な登録基準

  • 18歳以上のECOG PS 2以下
  • 移植適応なし または 移植希望なし
  • 初発の多発性骨髄腫

Primary Endpoints

  • MRD陰性(カットオフ10-5)達成率

主なSecondary Endpoints

  • PFS/OS
  • MRD持続期間
  • MRD達成率(12/18/24か月)
  • CRR

試験内容

  • P3
  • ランダム化:Dara-VRd (197) vs VRd (198)

結果(Dara-VRd vs VRd)

  • MRD陰性率:60.9% vs 39.4% (odds ratio [OR], 2.37; 95% CI, 1.58-3.55; P < .0001)
  • CRR:81.2% vs 61.6% (OR, 2.73; 1.71-4.34; P < .0001)
  • sCR:65.0% vs 44.4%
  • MRD陰性持続率(12か月):48.7% vs 26.3%
  • PFS:NR vs 52.6か月 (HR, 0.57; 0.41-0.79; P = .0005)
  • OSはまだデータが未熟:HR, 0.85; 0.58-1.24
  • 血液毒性がDara-VRdで多かった:82.7% vs 64.6%
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未治療で移植適応のない多発性骨髄腫に対する4剤併用のIsatuximab+VRd療法をFDAが承認

FDAは2024年9月20日、未治療で自家移植の適応のない多発性骨髄腫に対して、 isatuximab-irfc (Sarclisa) を従来の標準療法であった bortezomib (Velcade)、lenalidomide (Revlimid)、dexamethasone (VRd)に加える4剤併用療法を承認しました。

FDA Approves Isatuximab Plus VRd for Newly Diagnosed, Transplant-Ineligible Multiple Myeloma

承認のもととなったピボタル試験はP3のIMROZ試験(NCT03319667)で、先日NEJMにもIsa-VRd療法の結果が報告されました。Isa-VRdは対照群のVRdと比較して、PDや死亡のリスクを40.4%低下させました。Median59.7ヵ月のの追跡期間では、Isa-VRdのPFSは未達、一方でVRdでは54.34ヵ月でした。

4剤併用の導入療法後も、isatuximabは4週ごとの投与を、PDや毒性が見られるまで継続されました。対照群もRdでの継続投与期間となった場合はクロスオーバーも認められていました。

その他のデータとしてORRは、Isa-VRdとVRdで91.3%と92.3%、sCR/CRはそれぞれ10.9%/63.8%と5.5%/58.6%でした。MRD陰性率はそれぞれ58.1%と43.6%でした。12か月以上の持続したMRD陰性の達成率は、それぞれ46.8%と24.3%でした。MRD陰性化までの中央値はそれぞれ、14.72ヵ月と32.79ヵ月となっていました。まだ観察期間は短いものの5y-OSはIsa-VRdで72.3%、VRdで66.3%でした。

有害事象としては、呼吸器感染症、下痢、疲労、末しょう神経障害、肺炎、筋骨格痛、白内障、便秘、浮腫、皮疹、infusion reaction、不眠症、COVID-19が20%以上でみられました。

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DREAMM-8:再発または難治性の多発性骨髄腫に対するBelantamab Mafodotin併用療法のPFSの延長

引用

Dimopoulos, M.A., Beksac, M., Pour, L., et al. (2024). Belantamab Mafodotin, Pomalidomide, and Dexamethasone in Multiple Myeloma. The New England Journal of Medicine, 391(5), 408-421. DOI: 10.1056/NEJMoa2403407.

ClinicalTrials.gov number, NCT04484623; EudraCT number, 2018-004354-21.

論文のキーポイント

  1. Belantamab Mafodotin併用療法(BPd)はPomalidomide、Bortezomib、Dexamethasone併用療法(PVd)と比較して、PFSがBPd群は中央値を達しなかったが、PVd群は12.7ヶ月(95% CI, 9.1–18.5)だった(HR:0.52; 0.37 to 0.73, P<0.001)。
  2. BPd治療群は12ヶ月のPFS推定率が71%(63–78)で、PVd群の51%(42–60)に比べて有意に高かった。
  3. BPd治療は高頻度の眼科的副作用を引き起こしたが、適切な用量調整により管理可能で、治療中断は9%の患者に限られた。

論文の背景

新規診断の多発性骨髄腫患者に対する3剤併用または4剤併用療法は生存期間の延長に寄与しているが、ほとんどの患者は最終的に再発する。特に、Lenalidomideを含む初回治療後の耐性または不応性が増加しているため、新しい治療選択肢が必要とされている。Belantamab MafodotinはBCMAを標的にしたantibody–drug conjugate(ADC)である。P1/2試験では安全性に懸念が生じた一方で臨床的有効性はみられていた。

試験概要

  • タイプ: P3、ランダム化、オープンラベル
  • 期間: 2020年10月から2022年12月
  • データカットオフ日: 2024年1月29日

試験薬

  • Arm A(155): BPd:Belantamab Mafodotin + Pomalidomide + Dexamethasone
  • Arm B(147): PVd:Pomalidomide + Bortezomib + Dexamethasone

主な適格基準

  • 対象疾患: 再発または難治性多発性骨髄腫
  • 年齢: 18歳以上
  • 前治療数: 少なくとも1回の治療歴(Lenalidomideを含む)

主な除外基準

  • 重篤な心血管疾患、重篤な感染症、その他の臨床試験との重複参加

Primary Endpoint

  • PFS

Secondary Endpoints

  • 全生存期間(OS)、MRD陰性状態、治療反応持続期間

有効性

  • BPd群はPVd群に比べて疾患進行または死亡のリスクが低く(HR 0.52;0.37–0.73; P<0.001)、より深く持続的な反応が見られた。
  • Median follow-up期間21.8ヵ月(<0.1–39.2)でのPFSがBPd群はNR、PVd群は12.7ヶ月(9.1–18.5)だった。
  • 12ヵ月OS推定率はBPd群は83%(76–88)、PVd群は76%(68–82)、HR0.77(0.53–1.14)だった。(データはまだ未熟)
  • ORR(PR or better)はBPd群は77%(70–84)、PVd群は72%(64–79)だった。
  • CRR(CR or better)はBPd群は40%(32–48)、PVd群は16%(11–23)だった。
  • MRD陰性達成率はBPd群は24%(17–31)、PVd群は5%(2–10)だった。
  • 12ヵ月の治療効果持続はBPd群は79%(71–86)、PVd群は61%(50–70)だった。

安全性

  • Grade 3以上の有害事象はBPd群で94%、PVd群で76%でみられた。
  • BPd治療は特に眼科的副作用(視力低下・ドライアイなど)が顕著であり(89%;Grade 3以上43%)、57%が減量、治療中断に至るケースも9%あったが、多くは用量調整で管理可能であった。

考察・結語

Belantamab Mafodotinを含む治療は、前治療にLenalidomideを用いた再発または難治性多発性骨髄腫患者に対して有効であり、深くより長い治療効果を示す。高頻度の眼科的副作用が課題であり注意は必要ではあるが、多くは用量調整で管理可能であり、early lineのRRMMの治療に重要であると考えられる。観察期間が短いため、OSの解析は予定された観察期間の後に行われることになっている。

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IKEMA試験の追跡調査:IsaKd群はKd群と比較してRRMMでのOSの延長に有意差みられずも新たな副作用のシグナルなく重要な治療レジメンとなりうる

引用

Yong, K., Martin, T., Dimopoulos, M.-A., Mikhael, J., et al. (2024). Isatuximab plus carfilzomib–dexamethasone versus carfilzomib–dexamethasone in patients with relapsed multiple myeloma (IKEMA): overall survival analysis of a phase 3, randomised, controlled trial. Lancet Haematology. https://doi.org/10.1016/S2352-3026(24)00148-0

論文のキーポイント

  1. IsaKd群の全生存期間中央値は到達せず、Kd群の全生存期間中央値は50.60ヶ月 (95% CI 38.93–NR)。
  2. 全生存確率48ヶ月時でIsaKd群が59.7% (95% CI 52.0–66.7)、Kd群が52.2% (95% CI 42.7–60.8)。
  3. IsaKd群はOSに統計学的な差をもたらさなかったが、新たな重篤な副作用のシグナルは検出しなかった。

論文の背景

Isatuximab はCD38を標的とする抗体であり、再発または難治性多発性骨髄腫の治療において、Kdと組み合わせて使用さる。主論文ではPrimary EndpointであるPFSを評価しIsaKdの優位性が確認されたが、この追跡研究ではOS等の分析を主要解析の3年後に行い、長期的な生存効果を評価した。

試験概要

  • 試験タイプ: ランダム化、オープンラベル、P3
  • 期間: 2017年11月15日から2019年3月21日
  • データカットオフ:2023年2月7日

試験薬

  • Arm A(179): Isatuximab plus carfilzomib–dexamethasone(IsaKd)
  • Arm B(123): Carfilzomib–dexamethasone(Kd)

主な適格基準

  • 対象疾患: 再発または難治性多発性骨髄腫
  • 年齢: 18歳以上
  • 前治療数: 1~3回
  • 測定可能病変

除外基準

  • carfilzomib治療の既往
  • 治験薬に対する禁忌
  • 腎臓・心臓機能の低下

Primary Endpoint

主なSecondary Endpoints

  • 全生存期間
  • 次の治療までの期間
  • 2次無増悪生存期間

有効性

  • Median OSはIsaKd群がNR (52.17–NR)、Kd群が50.6ヵ月 (38.93–NR)。
  • 全生存確率48ヶ月時でIsaKd群が59.7% (52.0–66.7)、Kd群が52.2% (42.7–60.8)。
  • 全生存期間の延長がIsatuximab群で観察されたが、統計的に有意な差は示されなかった(HR 0.855, 0.608–1.202, p=0.18)。
  • 次治療開始までの期間の延長がIsaKd群で観察された (HR 0.583 [0.429–0.792], p=0·0002)
  • Second PFSの延長がIsaKd群で観察された (HR 0.663 [0.491–0.895], p=0·0035)
  • 一方で、IsaKd群でのMRD陰性と陽性ではOSのHRは0.287 ( 0.161–0.513)となっていた。

安全性

  • IsaKd群の治療関連副作用としてinfusion reactionと上気道感染が最も頻繁に報告されたが、AEによる治療中止はKd群と差が見られなかった。
  • 重篤な治療関連有害事象の発生率も差が見られなかった。

Isatuximabを含む治療は再発または難治性多発性骨髄腫の患者に対して全生存期間の延長をもたらす可能性を示唆しているが、統計的に有意な差は確認されなかったためさらなる追跡とデータが必要である。

NDMMに対するP3試験も進行中である。

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