引用
Dimopoulos, M.A., Beksac, M., Pour, L., et al. (2024). Belantamab Mafodotin, Pomalidomide, and Dexamethasone in Multiple Myeloma. The New England Journal of Medicine, 391(5), 408-421. DOI: 10.1056/NEJMoa2403407.
ClinicalTrials.gov number, NCT04484623; EudraCT number, 2018-004354-21.
論文のキーポイント
- Belantamab Mafodotin併用療法(BPd)はPomalidomide、Bortezomib、Dexamethasone併用療法(PVd)と比較して、PFSがBPd群は中央値を達しなかったが、PVd群は12.7ヶ月(95% CI, 9.1–18.5)だった(HR:0.52; 0.37 to 0.73, P<0.001)。
- BPd治療群は12ヶ月のPFS推定率が71%(63–78)で、PVd群の51%(42–60)に比べて有意に高かった。
- BPd治療は高頻度の眼科的副作用を引き起こしたが、適切な用量調整により管理可能で、治療中断は9%の患者に限られた。
論文の背景
新規診断の多発性骨髄腫患者に対する3剤併用または4剤併用療法は生存期間の延長に寄与しているが、ほとんどの患者は最終的に再発する。特に、Lenalidomideを含む初回治療後の耐性または不応性が増加しているため、新しい治療選択肢が必要とされている。Belantamab MafodotinはBCMAを標的にしたantibody–drug conjugate(ADC)である。P1/2試験では安全性に懸念が生じた一方で臨床的有効性はみられていた。
試験概要
- タイプ: P3、ランダム化、オープンラベル
- 期間: 2020年10月から2022年12月
- データカットオフ日: 2024年1月29日
試験薬
- Arm A(155): BPd:Belantamab Mafodotin + Pomalidomide + Dexamethasone
- Arm B(147): PVd:Pomalidomide + Bortezomib + Dexamethasone
主な適格基準
- 対象疾患: 再発または難治性多発性骨髄腫
- 年齢: 18歳以上
- 前治療数: 少なくとも1回の治療歴(Lenalidomideを含む)
主な除外基準
- 重篤な心血管疾患、重篤な感染症、その他の臨床試験との重複参加
Primary Endpoint
Secondary Endpoints
- 全生存期間(OS)、MRD陰性状態、治療反応持続期間
有効性
- BPd群はPVd群に比べて疾患進行または死亡のリスクが低く(HR 0.52;0.37–0.73; P<0.001)、より深く持続的な反応が見られた。
- Median follow-up期間21.8ヵ月(<0.1–39.2)でのPFSがBPd群はNR、PVd群は12.7ヶ月(9.1–18.5)だった。
- 12ヵ月OS推定率はBPd群は83%(76–88)、PVd群は76%(68–82)、HR0.77(0.53–1.14)だった。(データはまだ未熟)
- ORR(PR or better)はBPd群は77%(70–84)、PVd群は72%(64–79)だった。
- CRR(CR or better)はBPd群は40%(32–48)、PVd群は16%(11–23)だった。
- MRD陰性達成率はBPd群は24%(17–31)、PVd群は5%(2–10)だった。
- 12ヵ月の治療効果持続はBPd群は79%(71–86)、PVd群は61%(50–70)だった。
安全性
- Grade 3以上の有害事象はBPd群で94%、PVd群で76%でみられた。
- BPd治療は特に眼科的副作用(視力低下・ドライアイなど)が顕著であり(89%;Grade 3以上43%)、57%が減量、治療中断に至るケースも9%あったが、多くは用量調整で管理可能であった。
考察・結語
Belantamab Mafodotinを含む治療は、前治療にLenalidomideを用いた再発または難治性多発性骨髄腫患者に対して有効であり、深くより長い治療効果を示す。高頻度の眼科的副作用が課題であり注意は必要ではあるが、多くは用量調整で管理可能であり、early lineのRRMMの治療に重要であると考えられる。観察期間が短いため、OSの解析は予定された観察期間の後に行われることになっている。
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