引用
Harrison, C. N., Mesa, R., Talpaz, M., et al. (2024). Efficacy and safety of fedratinib in patients with myelofibrosis previously treated with ruxolitinib (FREEDOM2): results from a multicentre, open-label, randomised, controlled, phase 3 trial. The Lancet Haematology. https://doi.org/10.1016/S2352-3026(24)00212-6
論文のキーポイント
- Fedratinib治療群はruxolitinibまたは最良利用療法(BAT)を受けていた群と比較して、脾臓体積の減少(SVR35)において有意な改善を示した。
- Fedratinib群の治療関連副作用の大部分は管理可能であり、重篤な副作用は比較的少なかった。
- Fedratinibの治療により、脾臓縮小と症状の改善の持続時間が延長され、患者の生活の質の向上に寄与する可能性が示唆された。
論文の背景
骨髄線維症は異常なクローン性造血幹細胞の増殖によって特徴付けられる。Ruxolitinib治療は非常に有効ではあるが、耐性または不応となり、その後の予後は極めて不良である。選択的JAK2阻害薬であるfedratinibはその後の代替治療として期待されている。本論文ではruxolitinib治療後の患者に対するfedratinibの有効性と安全性を、脾臓体積減少(SVR)を主要評価項目として評価している。
試験概要
- 試験タイプ: ランダム化、オープンラベル、P3、クロスオーバーあり
- 期間: 2019年9月9日から2022年6月24日まで
- データカットオフ:2022年12月27日
試験薬
- Arm A(134): Fedratinib
- Arm B(67): 最良利用療法(BAT、ruxolitinibが52例)
→46例がFedratinibにクロスオーバーされた
主な適格基準
- 対象疾患: 中等度-2リスクまたは高リスク骨髄線維症(PMF, post PT/ET MF)
- 年齢: 18歳以上 PS 0-2
- Ruxolitinibに耐性または不応・不寛容
→3か月以上の治療でSVR10%・触知で30%未満、再燃
→28日以上の治療後に2か月で2単位以上のRBC輸血やGrade 3の血小板減少・貧血 - 脾臓が触知可能(MRI/CT 450cm³以上)
- 血小板5万以上
- PBでの芽球5%未満
- チアミン値正常
除外基準
- クローン性肝疾患、がんの既往、慢性心不全、HIV感染症、B型またはC型肝炎、吸収を阻害するような消化管疾患の存在
Primary Endpoint
- 6サイクル後(EOC6)の脾臓体積の35%以上の減少(SVR35)
Secondary Endpoints
- 症状の改善(TSS50の割合)
- 脾臓体積の25%以上の減少(SVR25)
- 生存期間、spleen and disease progression-free survival (SDPFS)
- 安全性(特にウェルニッケ脳症関連)
有効性
- Fedratinib群では、EOC6でのSVR35が36%(95% CI 28–45)で、BAT群6%と比較して有意に高かった。
- TSS50はfedratinib群で34% (26–43)、BAT群で17% (9–28) だった。
- Median SDPFSはfedratinib群で112.4週 (75·0–NE)、BAT群でNE (0·4–NE) だった。
→追跡期間中央値fedratinib群で46.2週、BAT群で24.4週(クロスオーバーあり) - Median OSはfedratinib群でNE (112·6–NE)、BAT群で124.6 (98·9–NE) だった。
→追跡期間中央値fedratinib群で64.5週、BAT群で63.7週(クロスオーバーあり)
安全性
- 重篤な副作用は少なく、主にGrade 1-2の胃腸障害が治療開始早期にfedratinib群で報告された。
- Fedratinib群の1例で急性腎障害で死亡例が見られた。
- Fedratinib群で治療後に低チアミンが21%にみられた(BAT4%)のでチアミン予防投与が開始され、その後はチアミン低値を示したのは1例のみだった。ウェルニッケ脳症はGrade 1の疑い例の1例以外はみられなかった。
- Fedratinib群での副作用は管理可能であった。
考察・結語
Fedratinibはruxolitinib耐性または不応性の骨髄線維症患者に対する有効な二次治療選択肢である。消化管毒性の管理やチアミン補充の必要性はあるものの、本試験結果は、fedratinibの使用がこれらの患者の治療選択肢として重要であることを示した。
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