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REVIVE試験:Rusfertideによる真性多血症の赤血球増加症制御の有効性と安全性

引用:

Kremyanskaya M, Kuykendall AT, Pemmaraju N, et al. Rusfertide, a Hepcidin Mimetic, for Control of Erythrocytosis in Polycythemia Vera. N Engl J Med. 2024;390:723-735.

論文のキーとなるポイント:

  1. Rusfertideは、真性多血症の患者において、血栓予防のためのヘマトクリット値を45%未満に維持し、瀉血の頻度を著しく減少させる効果が示された。
  2. ランダム化期間では、Rusfertide群の60%が反応を示し、プラセボ群は17%のみ反応した(P=0.002)。
  3. 治療に関連する重大な副作用は少なく、注射部位の反応が最も一般的な副作用として報告されたが、全体として安全性は良好であった。

背景と目的:

真性多血症(PV:Polycythemia Vera)は、赤血球の異常増加を伴う骨髄増殖性腫瘍であり、血栓症のリスクが高い。ヘマトクリット値を45%未満に保つことが推奨されているが、多くの患者で十分なコントロールが難しい。本研究の目的は、ヘプシジン模倣ペプチドであるRusfertideの安全性と有効性の評価をすることであり、有効性では真性多血症の赤血球増加症を効果的に制御し、瀉血の必要性を減少させるかが評価された。

試験概要:

  • 試験デザイン: 3パート構成のPhase 2試験
    パート1:28週間の用量設定
    パート2:12週間の二重盲検ランダム化
    パート3:現在進行中のオープンラベル、Expansionコホート(~3年)
  • 試験期間: 2019年10月から2022年3月
  • 試験方法: Rusfertide vs プラセボ、1:1のランダム割り当て
  • 臨床試験番号: NCT04057040

試験薬:パート1では28週、パート2では12週間の投与

  • Arm A: Rusfertide(peptide hepcidin– mimetic compound)
  • Arm B: プラセボ(パート2のみ)

主な適格基準:

  • 対象疾患: 瀉血依存性の真性多血症(28週で3回以上と定義)
  • 年齢: 18歳以上
  • 前治療: 瀉血または細胞減少療法(ハイドロキシウレア、インターフェロンアルファ、ルクソリチニブ)

除外基準:

  • 直近の瀉血から12週間以上経過している患者
  • 細胞減少療法のDoseが安定していない患者

Primary Endpoint:

12週目におけるヘマトクリット値、瀉血の不実施、試験完了率の評価。

Secondary Endpoints:

瀉血率の変化、症状の改善、ヘマトクリット値の変化。

有効性:

  • Primary Endpoint: Rusfertide群の60%が反応を示し、プラセボ群の17%に対して有意差が認められた(P = 0.002)。
  • 瀉血の必要性の減少: 試験開始前の平均瀉血回数は年間8.7回であったが、Rusfertide治療期間中は年間0.6回にまで減少。
  • ヘマトクリット値の減少:50.0±5.8%→44.5±2.2%
  • 症状スコアの改善

安全性:

  • 注射部位の反応(主にGrade 1/2と軽度)が多く見られた。
  • Grade 3の有害事象は13%で報告され、グレード4または5の有害事象は報告されなかった。

考察・結語:

Rusfertideは、真性多血症において良好なヘマトクリットを維持し、瀉血の必要性を劇的に減少させ、症状も改善させる新しいメカニズムの治療法として有望である。

2024年現在、Phase 3のVERIFY試験 (ClinicalTrials.gov number, NCT05210790)が行われている。

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FREEDOM2:fedratinibによるruxolitinib耐性または不応性の骨髄線維症患者に対する有効性と安全性

引用

Harrison, C. N., Mesa, R., Talpaz, M., et al. (2024). Efficacy and safety of fedratinib in patients with myelofibrosis previously treated with ruxolitinib (FREEDOM2): results from a multicentre, open-label, randomised, controlled, phase 3 trial. The Lancet Haematology. https://doi.org/10.1016/S2352-3026(24)00212-6

論文のキーポイント

  1. Fedratinib治療群はruxolitinibまたは最良利用療法(BAT)を受けていた群と比較して、脾臓体積の減少(SVR35)において有意な改善を示した。
  2. Fedratinib群の治療関連副作用の大部分は管理可能であり、重篤な副作用は比較的少なかった。
  3. Fedratinibの治療により、脾臓縮小と症状の改善の持続時間が延長され、患者の生活の質の向上に寄与する可能性が示唆された。

論文の背景

骨髄線維症は異常なクローン性造血幹細胞の増殖によって特徴付けられる。Ruxolitinib治療は非常に有効ではあるが、耐性または不応となり、その後の予後は極めて不良である。選択的JAK2阻害薬であるfedratinibはその後の代替治療として期待されている。本論文ではruxolitinib治療後の患者に対するfedratinibの有効性と安全性を、脾臓体積減少(SVR)を主要評価項目として評価している。

試験概要

  • 試験タイプ: ランダム化、オープンラベル、P3、クロスオーバーあり
  • 期間: 2019年9月9日から2022年6月24日まで
  • データカットオフ:2022年12月27日

試験薬

  • Arm A(134): Fedratinib
  • Arm B(67): 最良利用療法(BAT、ruxolitinibが52例)
    →46例がFedratinibにクロスオーバーされた

主な適格基準

  • 対象疾患: 中等度-2リスクまたは高リスク骨髄線維症(PMF, post PT/ET MF)
  • 年齢: 18歳以上 PS 0-2
  • Ruxolitinibに耐性または不応・不寛容
    →3か月以上の治療でSVR10%・触知で30%未満、再燃
    →28日以上の治療後に2か月で2単位以上のRBC輸血やGrade 3の血小板減少・貧血
  • 脾臓が触知可能(MRI/CT 450cm³以上)
  • 血小板5万以上
  • PBでの芽球5%未満
  • チアミン値正常

除外基準

  • クローン性肝疾患、がんの既往、慢性心不全、HIV感染症、B型またはC型肝炎、吸収を阻害するような消化管疾患の存在

Primary Endpoint

  • 6サイクル後(EOC6)の脾臓体積の35%以上の減少(SVR35)

Secondary Endpoints

  • 症状の改善(TSS50の割合)
  • 脾臓体積の25%以上の減少(SVR25)
  • 生存期間、spleen and disease progression-free survival (SDPFS)
  • 安全性(特にウェルニッケ脳症関連)

有効性

  • Fedratinib群では、EOC6でのSVR35が36%(95% CI 28–45)で、BAT群6%と比較して有意に高かった。
  • TSS50はfedratinib群で34% (26–43)、BAT群で17% (9–28) だった。
  • Median SDPFSはfedratinib群で112.4週 (75·0–NE)、BAT群でNE (0·4–NE) だった。
    →追跡期間中央値fedratinib群で46.2週、BAT群で24.4週(クロスオーバーあり)
  • Median OSはfedratinib群でNE (112·6–NE)、BAT群で124.6 (98·9–NE) だった。
    →追跡期間中央値fedratinib群で64.5週、BAT群で63.7週(クロスオーバーあり)

安全性

  • 重篤な副作用は少なく、主にGrade 1-2の胃腸障害が治療開始早期にfedratinib群で報告された。
  • Fedratinib群の1例で急性腎障害で死亡例が見られた。
  • Fedratinib群で治療後に低チアミンが21%にみられた(BAT4%)のでチアミン予防投与が開始され、その後はチアミン低値を示したのは1例のみだった。ウェルニッケ脳症はGrade 1の疑い例の1例以外はみられなかった。
  • Fedratinib群での副作用は管理可能であった。

考察・結語

Fedratinibはruxolitinib耐性または不応性の骨髄線維症患者に対する有効な二次治療選択肢である。消化管毒性の管理やチアミン補充の必要性はあるものの、本試験結果は、fedratinibの使用がこれらの患者の治療選択肢として重要であることを示した。

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