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【HARMONY Alliance試験】MDS del(5q)患者におけるLenalidomide治療中止後の輸血依存のない状態の維持

引用

Crisà, E., Mora, E., Germing, U., et al. Transfusion independence after lenalidomide discontinuation in patients with del(5q) myelodysplastic neoplasm: a HARMONY Alliance study. Leukemia 38, 2259–2265 (2024). https://doi.org/10.1038/s41375-024-02360-1

論文のキーとなるポイント

  1. MDS del(5q)患者がLenalidomide治療を中止した後でも、56カ月の長期間にわたり輸血依存のない状態(RBC-TI)を維持することが確認された。
  2. Lenalidomide治療サイクルが12サイクル以上の患者では、輸血依存のない状態の期間がより長い(中央値85.8カ月)。
  3. 治療再開後も再び輸血依存のない状態を得られる患者が67%と高率であった。

論文の背景と目的

MDS del(5q)は、MDS患者の10–20%で見られる染色体異常です。Lenalidomide(LEN)はこれらの患者において60-70%で輸血依存のない状態(RBC-TI)を、30-40%でcomplete cytogenetic response(CCyR)を達成する一方で、治療の効果がなくなるまでの長期継続が推奨されていました。しかし、LENの長期使用による毒性や費用の問題、そしてTP53変異をもつ12-25%の患者でのクローンの増大が指摘されており、本研究では、LEN治療を中止した患者における輸血依存のない状態の維持期間を評価しました。

試験概要

  • 観察研究
  • 臨床情報収集期間:2003年12月から2023年1月まで
  • 対象患者:MDS del(5q)患者 118名(IPSS-R低-中リスク)
  • Lenalidomide(LEN)を使用し、輸血依存のない状態(RBC-TI)を達成した後にLENを中止した患者を追跡
  • 同時に他の治療を受けている患者(成長因子使用は除く)は除外

患者背景

  • 21/118人の患者はdel(5q)以外の染色体異常を有していた
  • LEN中止までの治療サイクルの中央値は12(1–72)
  • 85 人 (71%)がLEN治療中になんらかの有害事象を呈していた
  • LEN中止時の年齢:77歳 (33–93)
  • LEN中止の理由:不耐用 70人 (59%)、反応良好のため医師判断 38人(32%)、患者の意思 9人 (8%) 、不明 1人 (1%)

有効性

  • 観察期間の中央値:診断から82か月 (5–302)、LEN中止から49か月
  • 50人 (42%)がLEN中止後にRBC-TIを喪失した
  • RBC-TI維持期間: LEN治療中止後のRBC-TIの中央値は56.2か月(1-120)
    →LEN12サイクル以上の患者でのRBC-TIは85.8か月(vs 31か月; p = 0.001)
    →→LEN中止時にCCyRの患者では85.8か月 (vs 50.4か月; p = 0.011)
  • EFS: EFSは40.8か月(1–130)
    →LEN12サイクル以上の患者では58.0か月(vs 18.8か月)
    →LEN中止時にCCyRの患者では53.3か月(vs 31.0か月; p = 0.031)
  • 5y PFS:83%
  • LEN中止後のOS中央値:78.4 か月 (2–186)

中止後の反応

  • CCyRの喪失:73%
  • 高リスクMDS/AMLへの進展:19%、中央値29か月 (1–125)
  • LEN中止後の再燃にLENを再開した患者の67%がRBC-TIを再度獲得

TP53遺伝学的検証(82例)

  • TP53変異は13/82人で検出された
  • TP53変異の推移の1例:変異アリル頻度(VAF)はLEN中止時で7%、RBC-TIの喪失まで中央値4か月
    →VAFは26%にまで上昇し、del(20q)などの追加の異常を有していた

考察・結論

Lenalidomide治療を中止しても、MDS del(5q)患者の大多数は長期間にわたり輸血依存のない状態(RBC-TI)を維持でき、再治療でも高い反応率が見られた。この結果は、LENの断続的な使用が一部のMDS del(5q)患者では有効な選択肢であり、患者のQOLの向上や医療資源の削減に寄与する可能性を示している。

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多発性骨髄腫のレナリドミド維持療法を3年間のMRD陰性状態後に中止してもMRD陰性は維持される

第21回International Myeloma Society Annual Meetingで、多発性骨髄腫におけるlenalidomideの維持療法中に、3年間の持続したMRD陰性を確認したのち、維持療法を中止して、MRD陰性状態が継続されるかを調べる前向きの観察研究(NCT04221178)の結果が発表されました。

主な登録基準

  • 多発性骨髄腫の治療後のlenalidomideによる維持療法で3年間のMRD陰性を確認した
  • 前治療数は問わない
  • MRD陰性はフローサイトメトリー(multiparametric flow cytometry)で10-5
  • 登録時にMRD陰性
  • CNS・形質細胞白血病などは除外

Primary Endpoints

  • 1年後のMRD陰性維持率

主なSecondary Endpoints

  • HRQOL
  • 3年後のMRD陰性維持率
  • PFS・EFS
  • MRD陰性持続期間
  • MRD陽転化後の治療の反応
  • バイオマーカー

試験内容

  • 前向き観察研究
  • Single arm
  • 維持療法を中止して3年間の観察
  • 血液検査は3か月ごと、MRD検査は骨髄検査で6か月ごと、PET/CTは12か月ごとに行う
  • Stage1:最低8人の被験者がMRD陰性を1年間持続していたらStage2へ
  • Stage2:追加で35人が登録。

結果(データカットオフ日:2024年8月19日)対象:39人

  • 全治療期間/維持療法期間:8.1年 (5-20)/4.6年(3-13)
  • 年齢:63歳 (29-77)
  • 15%が高リスクのcytogenetics(9%はリスク不明)
  • 43%が移植後の維持療法
  • Median follow-up:24.3 months (95% CI, 20-35)
  • 1年後のMRD陰性維持率:85% (64%-94%)
  • 2年後のMRD陰性維持率:78% (66%-93%)
  • 2年後のMRD陰性率(標準リスク/高リスク):81% (68%-98%) /67% (42%-100%) P = .21
  • 72%がMRD陰性を維持、28%にMRD陽転化がみられた
  • MRD陽転化までの時期:16か月 (6-49)

今後、P3:SWOG 1803/DRAMMATIC試験(NCT04071457)において、MRD2年持続陰性患者に対して維持療法を継続、中止するランダム化試験で検証される。

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3クラス使用後のRRMMに対するtalquetamabとteclistamabの併用は髄外病変にも持続的な効果がみられた

第21回International Myeloma Society Annual Meetingで、3 class使用後の再発難治多発性骨髄腫に対するtalquetamab-tgvs (Talvey) と teclistamab-cqyv (Tecvayli)を併用したRedirecTT-1試験(P1b:NCT04586426)の結果が発表されました。

Phase 1b RedirecTT-1 試験

主な登録基準

  • 3クラス(IMiDs、PI、CD38)使用後の再発難治多発性骨髄腫
  • 髄外病変(EMD)は許容
  • CNSは除外

Primary Endpoints

  • パート1:dose-limiting toxicities
  • パート2:安全性
  • パート3:ORR

主なSecondary Endpoints

  • CRR
  • DOR
  • PFS/OS
  • Time to response

試験内容

  • P1b
  • Single arm
  • パート1:talquetamab+teclistamab(+/- daratumumab)
  • パート2/3:talquetamab(0.8 mg/kg)+ teclistamab(3 mg/kg)隔週投与
     → recommended phase 2 regimen (RP2R)

結果

  • RP2R:talquetamab(0.8 mg/kg)+ teclistamab(3 mg/kg)隔週投与
  • ORR:79.5%
  • CRR:52.3% →18か月時点で85.9%が効果持続
  • PFS(18M):69.8% (median follow-up:18.2M)
  • EMDでの結果:
     ORR/CRR:61.1%/33.3% →18か月時点で81.8%が効果持続
     PFS(18M):52.9%(median follow-up:13.6M)
  • Grade 3/4の感染症はmonotherapyと比較して少し多くみられたが、6か月以降は増加はみられなかった
  • 味覚(50%)や皮膚/爪症状(56.8%/47.7%)、はlow gradeであった
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初発多発性骨髄腫に対する移植後のDara+Len維持療法は高いMRD陰性化とPFSの延長をもたらした

第21回International Myeloma Society Annual Meetingで、初発多発性骨髄腫に対する移植後維持療法でのDara+LenとLen単独療法を比較したAURIGA 試験(P3:NCT03901963)の結果が発表されました。

Phase 3 AURIGA 試験

主な登録基準

  • 初発の移植後多発性骨髄腫(12か月以内の移植)
  • 移植後にVGPR以上かつMRD陽性(カットオフ:10-5
  • Dara感受性あり
  • 移植後6カ月以内

Primary Endpoints

  • 維持療法開始より12か月後のMRD陰転化率

主なSecondary Endpoints

  • PFS/OS
  • MRD陰性持続期間
  • CR持続期間

試験内容

  • P3
  • ランダム化:Daratumumab + Lenalidomide vs Lenalidomide

結果(Dara-Len vs Len)

  • 12か月後のMRD陰転化率:50.5% vs 18.8% (odds ratio [OR], 4.51; 95% CI, 2.37-8.57; < .0001)
  • CRR:61.3% vs 25.8% (OR, 4.62; 2.20-9.70; < .0001)
  • sCR:50.5% vs 35.6%
  • PFS(30M):82.7% vs 66.4% (HR, 0.53; 95% CI, 0.29-0.97; = .0361)
  • MRDの陰転化はPFSの延長に関連していた
  • PFS(30M:MRD- vs +):95.2% vs 69.0% (Dara+Len)
                 94.1% vs 59.3%(Len)
  • 新しい安全性の問題は検出されなかった
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未治療の多発性骨髄腫に対する移植なし4剤併用のDaratumumab+VRd療法は高いMRD陰性化を達成

第21回International Myeloma Society Annual Meetingで、初発多発性骨髄腫に対する移植なしDara-VRd療法のCEPHEUS試験(P3:NCT03652064)の結果が発表されました。FDAは2024年7月にPERSEUS試験 (NCT03710603) に基づいてDara-VRd療法を承認しています。

FDA approves daratumumab and hyaluronidase-fihj with bortezomib, lenalidomide, and dexamethasone for multiple myeloma

Phase 3 CEPHEUS試験

主な登録基準

  • 18歳以上のECOG PS 2以下
  • 移植適応なし または 移植希望なし
  • 初発の多発性骨髄腫

Primary Endpoints

  • MRD陰性(カットオフ10-5)達成率

主なSecondary Endpoints

  • PFS/OS
  • MRD持続期間
  • MRD達成率(12/18/24か月)
  • CRR

試験内容

  • P3
  • ランダム化:Dara-VRd (197) vs VRd (198)

結果(Dara-VRd vs VRd)

  • MRD陰性率:60.9% vs 39.4% (odds ratio [OR], 2.37; 95% CI, 1.58-3.55; P < .0001)
  • CRR:81.2% vs 61.6% (OR, 2.73; 1.71-4.34; P < .0001)
  • sCR:65.0% vs 44.4%
  • MRD陰性持続率(12か月):48.7% vs 26.3%
  • PFS:NR vs 52.6か月 (HR, 0.57; 0.41-0.79; P = .0005)
  • OSはまだデータが未熟:HR, 0.85; 0.58-1.24
  • 血液毒性がDara-VRdで多かった:82.7% vs 64.6%
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レトロスペクティブ試験によるCD19-CAR-T療法によるRichter症候群の治療効果

引用:

Kittai AS, Bond DA, Huang Y, et al. Anti-CD19 Chimeric Antigen Receptor T-Cell Therapy for Richter Transformation: An International, Multicenter, Retrospective Study. J Clin Oncol.2024 Aug 10;42(23):2757-2768.

論文のキーポイント:

  1. 反応率: CD19-CAR-T療法を受けた患者の63.8%が治療に反応し、46%が完全寛解(CR)を達成した。
  2. 生存率: 全生存期間中央値(OS)は8.5ヶ月であり、2年後のOSは38%に達した。
  3. 副作用: グレード3以上の免疫細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は37%、サイトカイン放出症候群(CRS)は16%で発生した。

背景と目的:

Richter症候群は、慢性リンパ性白血病(CLL)患者に発生する非常にアグレッシブなB細胞リンパ腫で、従来の治療法では効果が限定的である。本研究は、レトロスペクティブ試験によってRichter症候群に対するCD19標的キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法の有効性と安全性を評価することを目的としている。

試験概要:

  • 試験デザイン: 多施設共同、国際的なレトロスペクティブ試験
  • 対象: CAR-T療法を受けた69名のRichter症候群
  • CD19-CAR-T療法: 商業的に利用可能なCAR-T製品(axi-cel 64%、tisa-cel 25%、liso-cel 10%、brexu-cel 1%)の投与

有効性:(Median follow up 24ヵ月)

  • PFS: Median PFSは4.7ヶ月(95% CI, 2.0-6.9)、2年後のPFSは28.9% (17.8-40.8)。
  • OS: Median OSは8.5ヶ月(5.1-25.4)、2年後のOSは38.3% (26.2-50.3)。
  • Best response rate: ORR63.8%:CR 46% PR 17% SD 1% PD 30%
  • Median duration of response: CR達成で 27.6ヶ月 (14.5-NR) 、PR患者で2.1ヶ月 (1.0- 3.3)
  • MRD(カットオフ10-4:測定した81%で陰性
  • MRD陰性の予後: Median PFSは20.3ヶ月(6.6-NR)、Median OSは38.4ヶ月(8.6-NR)
  • CNSへの進展は病勢進行した患者の8%を占めた
  • 非再発死亡は3ヶ月で7.3% (2.7 to 15)、12ヶ月で 13.4% (6.5 to 22.8)。
  • ベースラインLDH、CRP高値はPFSの予後悪い
  • 前治療数、Ki67index、LDH、CRPはOSの予後と関連

安全性:

  • CRS: グレード3以上のCRSは16%の患者に発生。
  • ICANS: 37%の患者にグレード3以上のICANSが発生。(43%:axi-cel/brexu-cel、25%:tisa-cel/liso-cel)
  • 感染症: 非再発死亡の原因としてCOVID-19関連感染症が4例報告された。

考察・結語:

CD19-CAR-T療法は、前治療の多い治療抵抗性のRichter症候群患者において有望な治療選択肢となる可能性があり、一定の反応と生存期間の延長を示した。一方でICANSやCRSといった副作用はCLLと同様LBCLより多くみられ、また感染症の管理は重要である。

Limitationとしてレトロスペクティブ試験のため、CAR-T準備中の進行や製造失敗などのデータはなく、過大評価している可能性がある。

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REVIVE試験:Rusfertideによる真性多血症の赤血球増加症制御の有効性と安全性

引用:

Kremyanskaya M, Kuykendall AT, Pemmaraju N, et al. Rusfertide, a Hepcidin Mimetic, for Control of Erythrocytosis in Polycythemia Vera. N Engl J Med. 2024;390:723-735.

論文のキーとなるポイント:

  1. Rusfertideは、真性多血症の患者において、血栓予防のためのヘマトクリット値を45%未満に維持し、瀉血の頻度を著しく減少させる効果が示された。
  2. ランダム化期間では、Rusfertide群の60%が反応を示し、プラセボ群は17%のみ反応した(P=0.002)。
  3. 治療に関連する重大な副作用は少なく、注射部位の反応が最も一般的な副作用として報告されたが、全体として安全性は良好であった。

背景と目的:

真性多血症(PV:Polycythemia Vera)は、赤血球の異常増加を伴う骨髄増殖性腫瘍であり、血栓症のリスクが高い。ヘマトクリット値を45%未満に保つことが推奨されているが、多くの患者で十分なコントロールが難しい。本研究の目的は、ヘプシジン模倣ペプチドであるRusfertideの安全性と有効性の評価をすることであり、有効性では真性多血症の赤血球増加症を効果的に制御し、瀉血の必要性を減少させるかが評価された。

試験概要:

  • 試験デザイン: 3パート構成のPhase 2試験
    パート1:28週間の用量設定
    パート2:12週間の二重盲検ランダム化
    パート3:現在進行中のオープンラベル、Expansionコホート(~3年)
  • 試験期間: 2019年10月から2022年3月
  • 試験方法: Rusfertide vs プラセボ、1:1のランダム割り当て
  • 臨床試験番号: NCT04057040

試験薬:パート1では28週、パート2では12週間の投与

  • Arm A: Rusfertide(peptide hepcidin– mimetic compound)
  • Arm B: プラセボ(パート2のみ)

主な適格基準:

  • 対象疾患: 瀉血依存性の真性多血症(28週で3回以上と定義)
  • 年齢: 18歳以上
  • 前治療: 瀉血または細胞減少療法(ハイドロキシウレア、インターフェロンアルファ、ルクソリチニブ)

除外基準:

  • 直近の瀉血から12週間以上経過している患者
  • 細胞減少療法のDoseが安定していない患者

Primary Endpoint:

12週目におけるヘマトクリット値、瀉血の不実施、試験完了率の評価。

Secondary Endpoints:

瀉血率の変化、症状の改善、ヘマトクリット値の変化。

有効性:

  • Primary Endpoint: Rusfertide群の60%が反応を示し、プラセボ群の17%に対して有意差が認められた(P = 0.002)。
  • 瀉血の必要性の減少: 試験開始前の平均瀉血回数は年間8.7回であったが、Rusfertide治療期間中は年間0.6回にまで減少。
  • ヘマトクリット値の減少:50.0±5.8%→44.5±2.2%
  • 症状スコアの改善

安全性:

  • 注射部位の反応(主にGrade 1/2と軽度)が多く見られた。
  • Grade 3の有害事象は13%で報告され、グレード4または5の有害事象は報告されなかった。

考察・結語:

Rusfertideは、真性多血症において良好なヘマトクリットを維持し、瀉血の必要性を劇的に減少させ、症状も改善させる新しいメカニズムの治療法として有望である。

2024年現在、Phase 3のVERIFY試験 (ClinicalTrials.gov number, NCT05210790)が行われている。

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未治療で移植適応のない多発性骨髄腫に対する4剤併用のIsatuximab+VRd療法をFDAが承認

FDAは2024年9月20日、未治療で自家移植の適応のない多発性骨髄腫に対して、 isatuximab-irfc (Sarclisa) を従来の標準療法であった bortezomib (Velcade)、lenalidomide (Revlimid)、dexamethasone (VRd)に加える4剤併用療法を承認しました。

FDA Approves Isatuximab Plus VRd for Newly Diagnosed, Transplant-Ineligible Multiple Myeloma

承認のもととなったピボタル試験はP3のIMROZ試験(NCT03319667)で、先日NEJMにもIsa-VRd療法の結果が報告されました。Isa-VRdは対照群のVRdと比較して、PDや死亡のリスクを40.4%低下させました。Median59.7ヵ月のの追跡期間では、Isa-VRdのPFSは未達、一方でVRdでは54.34ヵ月でした。

4剤併用の導入療法後も、isatuximabは4週ごとの投与を、PDや毒性が見られるまで継続されました。対照群もRdでの継続投与期間となった場合はクロスオーバーも認められていました。

その他のデータとしてORRは、Isa-VRdとVRdで91.3%と92.3%、sCR/CRはそれぞれ10.9%/63.8%と5.5%/58.6%でした。MRD陰性率はそれぞれ58.1%と43.6%でした。12か月以上の持続したMRD陰性の達成率は、それぞれ46.8%と24.3%でした。MRD陰性化までの中央値はそれぞれ、14.72ヵ月と32.79ヵ月となっていました。まだ観察期間は短いものの5y-OSはIsa-VRdで72.3%、VRdで66.3%でした。

有害事象としては、呼吸器感染症、下痢、疲労、末しょう神経障害、肺炎、筋骨格痛、白内障、便秘、浮腫、皮疹、infusion reaction、不眠症、COVID-19が20%以上でみられました。

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DREAMM-8:再発または難治性の多発性骨髄腫に対するBelantamab Mafodotin併用療法のPFSの延長

引用

Dimopoulos, M.A., Beksac, M., Pour, L., et al. (2024). Belantamab Mafodotin, Pomalidomide, and Dexamethasone in Multiple Myeloma. The New England Journal of Medicine, 391(5), 408-421. DOI: 10.1056/NEJMoa2403407.

ClinicalTrials.gov number, NCT04484623; EudraCT number, 2018-004354-21.

論文のキーポイント

  1. Belantamab Mafodotin併用療法(BPd)はPomalidomide、Bortezomib、Dexamethasone併用療法(PVd)と比較して、PFSがBPd群は中央値を達しなかったが、PVd群は12.7ヶ月(95% CI, 9.1–18.5)だった(HR:0.52; 0.37 to 0.73, P<0.001)。
  2. BPd治療群は12ヶ月のPFS推定率が71%(63–78)で、PVd群の51%(42–60)に比べて有意に高かった。
  3. BPd治療は高頻度の眼科的副作用を引き起こしたが、適切な用量調整により管理可能で、治療中断は9%の患者に限られた。

論文の背景

新規診断の多発性骨髄腫患者に対する3剤併用または4剤併用療法は生存期間の延長に寄与しているが、ほとんどの患者は最終的に再発する。特に、Lenalidomideを含む初回治療後の耐性または不応性が増加しているため、新しい治療選択肢が必要とされている。Belantamab MafodotinはBCMAを標的にしたantibody–drug conjugate(ADC)である。P1/2試験では安全性に懸念が生じた一方で臨床的有効性はみられていた。

試験概要

  • タイプ: P3、ランダム化、オープンラベル
  • 期間: 2020年10月から2022年12月
  • データカットオフ日: 2024年1月29日

試験薬

  • Arm A(155): BPd:Belantamab Mafodotin + Pomalidomide + Dexamethasone
  • Arm B(147): PVd:Pomalidomide + Bortezomib + Dexamethasone

主な適格基準

  • 対象疾患: 再発または難治性多発性骨髄腫
  • 年齢: 18歳以上
  • 前治療数: 少なくとも1回の治療歴(Lenalidomideを含む)

主な除外基準

  • 重篤な心血管疾患、重篤な感染症、その他の臨床試験との重複参加

Primary Endpoint

  • PFS

Secondary Endpoints

  • 全生存期間(OS)、MRD陰性状態、治療反応持続期間

有効性

  • BPd群はPVd群に比べて疾患進行または死亡のリスクが低く(HR 0.52;0.37–0.73; P<0.001)、より深く持続的な反応が見られた。
  • Median follow-up期間21.8ヵ月(<0.1–39.2)でのPFSがBPd群はNR、PVd群は12.7ヶ月(9.1–18.5)だった。
  • 12ヵ月OS推定率はBPd群は83%(76–88)、PVd群は76%(68–82)、HR0.77(0.53–1.14)だった。(データはまだ未熟)
  • ORR(PR or better)はBPd群は77%(70–84)、PVd群は72%(64–79)だった。
  • CRR(CR or better)はBPd群は40%(32–48)、PVd群は16%(11–23)だった。
  • MRD陰性達成率はBPd群は24%(17–31)、PVd群は5%(2–10)だった。
  • 12ヵ月の治療効果持続はBPd群は79%(71–86)、PVd群は61%(50–70)だった。

安全性

  • Grade 3以上の有害事象はBPd群で94%、PVd群で76%でみられた。
  • BPd治療は特に眼科的副作用(視力低下・ドライアイなど)が顕著であり(89%;Grade 3以上43%)、57%が減量、治療中断に至るケースも9%あったが、多くは用量調整で管理可能であった。

考察・結語

Belantamab Mafodotinを含む治療は、前治療にLenalidomideを用いた再発または難治性多発性骨髄腫患者に対して有効であり、深くより長い治療効果を示す。高頻度の眼科的副作用が課題であり注意は必要ではあるが、多くは用量調整で管理可能であり、early lineのRRMMの治療に重要であると考えられる。観察期間が短いため、OSの解析は予定された観察期間の後に行われることになっている。

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FREEDOM2:fedratinibによるruxolitinib耐性または不応性の骨髄線維症患者に対する有効性と安全性

引用

Harrison, C. N., Mesa, R., Talpaz, M., et al. (2024). Efficacy and safety of fedratinib in patients with myelofibrosis previously treated with ruxolitinib (FREEDOM2): results from a multicentre, open-label, randomised, controlled, phase 3 trial. The Lancet Haematology. https://doi.org/10.1016/S2352-3026(24)00212-6

論文のキーポイント

  1. Fedratinib治療群はruxolitinibまたは最良利用療法(BAT)を受けていた群と比較して、脾臓体積の減少(SVR35)において有意な改善を示した。
  2. Fedratinib群の治療関連副作用の大部分は管理可能であり、重篤な副作用は比較的少なかった。
  3. Fedratinibの治療により、脾臓縮小と症状の改善の持続時間が延長され、患者の生活の質の向上に寄与する可能性が示唆された。

論文の背景

骨髄線維症は異常なクローン性造血幹細胞の増殖によって特徴付けられる。Ruxolitinib治療は非常に有効ではあるが、耐性または不応となり、その後の予後は極めて不良である。選択的JAK2阻害薬であるfedratinibはその後の代替治療として期待されている。本論文ではruxolitinib治療後の患者に対するfedratinibの有効性と安全性を、脾臓体積減少(SVR)を主要評価項目として評価している。

試験概要

  • 試験タイプ: ランダム化、オープンラベル、P3、クロスオーバーあり
  • 期間: 2019年9月9日から2022年6月24日まで
  • データカットオフ:2022年12月27日

試験薬

  • Arm A(134): Fedratinib
  • Arm B(67): 最良利用療法(BAT、ruxolitinibが52例)
    →46例がFedratinibにクロスオーバーされた

主な適格基準

  • 対象疾患: 中等度-2リスクまたは高リスク骨髄線維症(PMF, post PT/ET MF)
  • 年齢: 18歳以上 PS 0-2
  • Ruxolitinibに耐性または不応・不寛容
    →3か月以上の治療でSVR10%・触知で30%未満、再燃
    →28日以上の治療後に2か月で2単位以上のRBC輸血やGrade 3の血小板減少・貧血
  • 脾臓が触知可能(MRI/CT 450cm³以上)
  • 血小板5万以上
  • PBでの芽球5%未満
  • チアミン値正常

除外基準

  • クローン性肝疾患、がんの既往、慢性心不全、HIV感染症、B型またはC型肝炎、吸収を阻害するような消化管疾患の存在

Primary Endpoint

  • 6サイクル後(EOC6)の脾臓体積の35%以上の減少(SVR35)

Secondary Endpoints

  • 症状の改善(TSS50の割合)
  • 脾臓体積の25%以上の減少(SVR25)
  • 生存期間、spleen and disease progression-free survival (SDPFS)
  • 安全性(特にウェルニッケ脳症関連)

有効性

  • Fedratinib群では、EOC6でのSVR35が36%(95% CI 28–45)で、BAT群6%と比較して有意に高かった。
  • TSS50はfedratinib群で34% (26–43)、BAT群で17% (9–28) だった。
  • Median SDPFSはfedratinib群で112.4週 (75·0–NE)、BAT群でNE (0·4–NE) だった。
    →追跡期間中央値fedratinib群で46.2週、BAT群で24.4週(クロスオーバーあり)
  • Median OSはfedratinib群でNE (112·6–NE)、BAT群で124.6 (98·9–NE) だった。
    →追跡期間中央値fedratinib群で64.5週、BAT群で63.7週(クロスオーバーあり)

安全性

  • 重篤な副作用は少なく、主にGrade 1-2の胃腸障害が治療開始早期にfedratinib群で報告された。
  • Fedratinib群の1例で急性腎障害で死亡例が見られた。
  • Fedratinib群で治療後に低チアミンが21%にみられた(BAT4%)のでチアミン予防投与が開始され、その後はチアミン低値を示したのは1例のみだった。ウェルニッケ脳症はGrade 1の疑い例の1例以外はみられなかった。
  • Fedratinib群での副作用は管理可能であった。

考察・結語

Fedratinibはruxolitinib耐性または不応性の骨髄線維症患者に対する有効な二次治療選択肢である。消化管毒性の管理やチアミン補充の必要性はあるものの、本試験結果は、fedratinibの使用がこれらの患者の治療選択肢として重要であることを示した。

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IKEMA試験の追跡調査:IsaKd群はKd群と比較してRRMMでのOSの延長に有意差みられずも新たな副作用のシグナルなく重要な治療レジメンとなりうる

引用

Yong, K., Martin, T., Dimopoulos, M.-A., Mikhael, J., et al. (2024). Isatuximab plus carfilzomib–dexamethasone versus carfilzomib–dexamethasone in patients with relapsed multiple myeloma (IKEMA): overall survival analysis of a phase 3, randomised, controlled trial. Lancet Haematology. https://doi.org/10.1016/S2352-3026(24)00148-0

論文のキーポイント

  1. IsaKd群の全生存期間中央値は到達せず、Kd群の全生存期間中央値は50.60ヶ月 (95% CI 38.93–NR)。
  2. 全生存確率48ヶ月時でIsaKd群が59.7% (95% CI 52.0–66.7)、Kd群が52.2% (95% CI 42.7–60.8)。
  3. IsaKd群はOSに統計学的な差をもたらさなかったが、新たな重篤な副作用のシグナルは検出しなかった。

論文の背景

Isatuximab はCD38を標的とする抗体であり、再発または難治性多発性骨髄腫の治療において、Kdと組み合わせて使用さる。主論文ではPrimary EndpointであるPFSを評価しIsaKdの優位性が確認されたが、この追跡研究ではOS等の分析を主要解析の3年後に行い、長期的な生存効果を評価した。

試験概要

  • 試験タイプ: ランダム化、オープンラベル、P3
  • 期間: 2017年11月15日から2019年3月21日
  • データカットオフ:2023年2月7日

試験薬

  • Arm A(179): Isatuximab plus carfilzomib–dexamethasone(IsaKd)
  • Arm B(123): Carfilzomib–dexamethasone(Kd)

主な適格基準

  • 対象疾患: 再発または難治性多発性骨髄腫
  • 年齢: 18歳以上
  • 前治療数: 1~3回
  • 測定可能病変

除外基準

  • carfilzomib治療の既往
  • 治験薬に対する禁忌
  • 腎臓・心臓機能の低下

Primary Endpoint

主なSecondary Endpoints

  • 全生存期間
  • 次の治療までの期間
  • 2次無増悪生存期間

有効性

  • Median OSはIsaKd群がNR (52.17–NR)、Kd群が50.6ヵ月 (38.93–NR)。
  • 全生存確率48ヶ月時でIsaKd群が59.7% (52.0–66.7)、Kd群が52.2% (42.7–60.8)。
  • 全生存期間の延長がIsatuximab群で観察されたが、統計的に有意な差は示されなかった(HR 0.855, 0.608–1.202, p=0.18)。
  • 次治療開始までの期間の延長がIsaKd群で観察された (HR 0.583 [0.429–0.792], p=0·0002)
  • Second PFSの延長がIsaKd群で観察された (HR 0.663 [0.491–0.895], p=0·0035)
  • 一方で、IsaKd群でのMRD陰性と陽性ではOSのHRは0.287 ( 0.161–0.513)となっていた。

安全性

  • IsaKd群の治療関連副作用としてinfusion reactionと上気道感染が最も頻繁に報告されたが、AEによる治療中止はKd群と差が見られなかった。
  • 重篤な治療関連有害事象の発生率も差が見られなかった。

Isatuximabを含む治療は再発または難治性多発性骨髄腫の患者に対して全生存期間の延長をもたらす可能性を示唆しているが、統計的に有意な差は確認されなかったためさらなる追跡とデータが必要である。

NDMMに対するP3試験も進行中である。

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MDS治療薬TebapivatをODD指定(FDA)

Tebapivat (AG-946)がMDS治療薬として、2024年9月12日にODD指定されました。Tebapivatは経口の新規ピルビン酸キナーゼ活性薬(pyruvate kinase activator)で、現在、低リスクMDSによる貧血を有する患者に対するP2試験(NCT05490446)のP2bパートが行われています。

Phase 2aパート

主な登録基準

  • 18歳以上のECOG PS 2以下
  • 輸血依存のない・または低い、低リスクMDS患者
  • Hb 11.0 g/dL未満
  • Doseが安定していれば鉄キレート剤使用可

主な除外基準

  • AML、二次性MDS、重度の心肺肝腎疾患などの既往歴
  • PK関連薬、MDS治療薬、erythropoiesis-stimulating agents (ESAs)やluspaterceptなどの使用

Primary Endpoints

  • ヘモグロビン値の改善
  • 輸血依存の状態

Secondary Endpoints

  • 治療期間16週での輸血量
  • 連続して8週以上輸血量が50%以上減少した患者の割合
  • PK

試験内容

  • Single arm
  • Open label

結果

10名の輸血依存の低い患者のうち4名に、Primary Endpointである8週間以上の連続した輸血依存からの脱却がえられました。

Phase 2bパート

主な適格基準

  • 18歳以上の輸血依存のある低リスクMDS患者
  • Hb 10.0 g/dL未満
  • MDSに対する前治療は2ラインまで可

Phase 2bパートでは、3つの用量で24週まで評価されます。

Primary Endpoint

  • 8週間以上連続した輸血依存からの脱却患者の割合

Secondary Endpoints

  • 安全性
  • Hbの変化
  • 輸血量の変化
  • 連続して8週/12週以上輸血量が50%以上減少した患者の割合
  • 輸血依存からの脱却までの期間
  • 輸血依存でない期間の長さ
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