引用:
論文のキーとなるポイント:
- Rusfertideは、真性多血症の患者において、血栓予防のためのヘマトクリット値を45%未満に維持し、瀉血の頻度を著しく減少させる効果が示された。
- ランダム化期間では、Rusfertide群の60%が反応を示し、プラセボ群は17%のみ反応した(P=0.002)。
- 治療に関連する重大な副作用は少なく、注射部位の反応が最も一般的な副作用として報告されたが、全体として安全性は良好であった。
背景と目的:
真性多血症(PV:Polycythemia Vera)は、赤血球の異常増加を伴う骨髄増殖性腫瘍であり、血栓症のリスクが高い。ヘマトクリット値を45%未満に保つことが推奨されているが、多くの患者で十分なコントロールが難しい。本研究の目的は、ヘプシジン模倣ペプチドであるRusfertideの安全性と有効性の評価をすることであり、有効性では真性多血症の赤血球増加症を効果的に制御し、瀉血の必要性を減少させるかが評価された。
試験概要:
- 試験デザイン: 3パート構成のPhase 2試験
パート1:28週間の用量設定
パート2:12週間の二重盲検ランダム化
パート3:現在進行中のオープンラベル、Expansionコホート(~3年) - 試験期間: 2019年10月から2022年3月
- 試験方法: Rusfertide vs プラセボ、1:1のランダム割り当て
- 臨床試験番号: NCT04057040
試験薬:パート1では28週、パート2では12週間の投与
- Arm A: Rusfertide(peptide hepcidin– mimetic compound)
- Arm B: プラセボ(パート2のみ)
主な適格基準:
- 対象疾患: 瀉血依存性の真性多血症(28週で3回以上と定義)
- 年齢: 18歳以上
- 前治療: 瀉血または細胞減少療法(ハイドロキシウレア、インターフェロンアルファ、ルクソリチニブ)
除外基準:
- 直近の瀉血から12週間以上経過している患者
- 細胞減少療法のDoseが安定していない患者
Primary Endpoint:
12週目におけるヘマトクリット値、瀉血の不実施、試験完了率の評価。
Secondary Endpoints:
瀉血率の変化、症状の改善、ヘマトクリット値の変化。
有効性:
- Primary Endpoint: Rusfertide群の60%が反応を示し、プラセボ群の17%に対して有意差が認められた(P = 0.002)。
- 瀉血の必要性の減少: 試験開始前の平均瀉血回数は年間8.7回であったが、Rusfertide治療期間中は年間0.6回にまで減少。
- ヘマトクリット値の減少:50.0±5.8%→44.5±2.2%
- 症状スコアの改善
安全性:
- 注射部位の反応(主にGrade 1/2と軽度)が多く見られた。
- Grade 3の有害事象は13%で報告され、グレード4または5の有害事象は報告されなかった。
考察・結語:
Rusfertideは、真性多血症において良好なヘマトクリットを維持し、瀉血の必要性を劇的に減少させ、症状も改善させる新しいメカニズムの治療法として有望である。
2024年現在、Phase 3のVERIFY試験 (ClinicalTrials.gov number, NCT05210790)が行われている。
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