引用
Yong, K., Martin, T., Dimopoulos, M.-A., Mikhael, J., et al. (2024). Isatuximab plus carfilzomib–dexamethasone versus carfilzomib–dexamethasone in patients with relapsed multiple myeloma (IKEMA): overall survival analysis of a phase 3, randomised, controlled trial. Lancet Haematology. https://doi.org/10.1016/S2352-3026(24)00148-0
論文のキーポイント
- IsaKd群の全生存期間中央値は到達せず、Kd群の全生存期間中央値は50.60ヶ月 (95% CI 38.93–NR)。
- 全生存確率48ヶ月時でIsaKd群が59.7% (95% CI 52.0–66.7)、Kd群が52.2% (95% CI 42.7–60.8)。
- IsaKd群はOSに統計学的な差をもたらさなかったが、新たな重篤な副作用のシグナルは検出しなかった。
論文の背景
Isatuximab はCD38を標的とする抗体であり、再発または難治性多発性骨髄腫の治療において、Kdと組み合わせて使用さる。主論文ではPrimary EndpointであるPFSを評価しIsaKdの優位性が確認されたが、この追跡研究ではOS等の分析を主要解析の3年後に行い、長期的な生存効果を評価した。
試験概要
- 試験タイプ: ランダム化、オープンラベル、P3
- 期間: 2017年11月15日から2019年3月21日
- データカットオフ:2023年2月7日
試験薬
- Arm A(179): Isatuximab plus carfilzomib–dexamethasone(IsaKd)
- Arm B(123): Carfilzomib–dexamethasone(Kd)
主な適格基準
- 対象疾患: 再発または難治性多発性骨髄腫
- 年齢: 18歳以上
- 前治療数: 1~3回
- 測定可能病変
除外基準
- carfilzomib治療の既往
- 治験薬に対する禁忌
- 腎臓・心臓機能の低下
Primary Endpoint
- 無増悪生存期間(主論文)
主なSecondary Endpoints
- 全生存期間
- 次の治療までの期間
- 2次無増悪生存期間
有効性
- Median OSはIsaKd群がNR (52.17–NR)、Kd群が50.6ヵ月 (38.93–NR)。
- 全生存確率48ヶ月時でIsaKd群が59.7% (52.0–66.7)、Kd群が52.2% (42.7–60.8)。
- 全生存期間の延長がIsatuximab群で観察されたが、統計的に有意な差は示されなかった(HR 0.855, 0.608–1.202, p=0.18)。
- 次治療開始までの期間の延長がIsaKd群で観察された (HR 0.583 [0.429–0.792], p=0·0002)
- Second PFSの延長がIsaKd群で観察された (HR 0.663 [0.491–0.895], p=0·0035)
- 一方で、IsaKd群でのMRD陰性と陽性ではOSのHRは0.287 ( 0.161–0.513)となっていた。
安全性
- IsaKd群の治療関連副作用としてinfusion reactionと上気道感染が最も頻繁に報告されたが、AEによる治療中止はKd群と差が見られなかった。
- 重篤な治療関連有害事象の発生率も差が見られなかった。
Isatuximabを含む治療は再発または難治性多発性骨髄腫の患者に対して全生存期間の延長をもたらす可能性を示唆しているが、統計的に有意な差は確認されなかったためさらなる追跡とデータが必要である。
NDMMに対するP3試験も進行中である。
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